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Gavel - Service Of Process When Litigating Against Foreign Counterparties

法務情報

海外の取引先との訴訟における送達手続きの検討

2022年7月22日  

国際ビジネスや貿易がグローバル経済において必要かつ重要であることは、昔も今も、そして今後も変わらないでしょう。あらゆる産業、製品、サービス(サプライヤー、ディストリビューター、製造業者、財務、会計、法務などを含む)の企業が海外の取引先とクロスボーダー取引を行い、これに依存しています。

取引に精通した当事者は、ビジネス関係の条件を詳細に規定した契約書を締結しています。また、これらの契約書には、準拠法、専属管轄権、裁判地、送達に関する標準的な条項など、債務不履行や法的紛争が発生した場合の権利と救済措置についても記載されています。

これらの条件は、ビジネスを行う上で不可避のコストとして紛争が発生し得る、また発生しがちなものとして、取引の現実を反映しています。取引の相手方が契約上の義務に違反した場合、その履行を強制し、違反の結果生じた損害を回復するために、訴訟(または当事者の合意に基づく仲裁)が必要となる場合があります。

法的強制力のある措置の第一歩は、取引の相手方に対して、法的措置をとったことを通知するための効果的な送達手続きにあります。しかし、被告が外国の法人や個人の場合、送達は困難で遅延する場合があります。

最近、ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所は、この問題を取上げ、外国の相手方に対して、通知されている最新の住所への郵送、および、相手方指定の電子メールアドレス、その米国の代理人への電子メール送付をもって、配達時の署名を得ずとも送達したとみなすことを認めました。StoneX Markets LLC v. Cuarte SL事件において、裁判所は、電子メールによる送達は連邦法で禁止されておらず、国際的な合意で禁止されているものでもないと判示しました。また、裁判所は、契約書に、「相手方当事者への全ての書面による連絡は、ファーストクラス、書留、配達証明、速達郵便...または同等の配達サービス...または電子メールで送られるものとする」と規定されていること、および、両当事者が「通知に関する事項の送達に取消不能の形で同意」していることを根拠に、この代替的送達がデュープロセスにも適合する旨判示しました。

ここでは、訴訟における送達の3つの重要なポイントと、連邦民事訴訟規則の下で海外の被告に「代替的送達」をするための選択肢を紹介します。

1. 海外の取引先とのクロスボーダー契約の履行強制

よくある事例で説明します。A社は、外国の取引先であるB社に代わって、米国内で商品およびサービスを提供する契約を締結しました。両当事者は、商取引に精通しており、全ての紛争はニューヨーク州の法律に準拠し、ニューヨークの州裁判所または連邦裁判所(またはニューヨーク州での仲裁手続)の専属管轄権と裁判地に従うこと、および送達のためにニューヨーク州の代理人を任命しなければならないことを定めた契約を書面で締結しました。両当事者は、当初は良好な関係でしたが、ある時点で状況が悪化し、B社は当事者間の契約に違反して債務不履行に陥り、A社に損害を与えました。これに対し、A社は米国連邦裁判所に訴訟を提起しました。

訴訟提起後、B社は、応答せず、正式な送達の受領および放棄を拒絶しています。

訴訟の内容にかかわらず、A社は、デュ―プロセスと適用される管轄区域の送達規則に従って、B社に適切に送達を実施しなければなりません。連邦裁判所では、正当な理由がない限り、または裁判所が許可した代替的な送達がない限り、一般的に訴訟提起から90日以内に送達を実施しなければならないとしています。

. 海外の取引先への送達のベストプラクティス

まず、契約上、外国の取引先が米国内の代理人を指名する必要がある場合、A社は、その指名が行われ、かつ有効であることを確認しなければなりません。これは、裁判地(または米国全般)とのつながりが希薄な海外の取引先に対しては、特に重要なことです。

海外の取引先の指定する米国内の代理人への送達に加え、ベストプラクティスは、通知の方法を契約書に詳細に規定することです。海外の取引先との間でサービスコミットメントが維持されていることを確認するためのポリシーと手順が定められている必要があります。訴訟を開始した場合、A社はそれらの通知の規定に従って海外の取引先に訴訟書類の写しを提供する必要があり、更に、書類の提供に努めたことの証拠としても、相手方からの回答や受領確認などを書面化して保存することが重要です。

3. 海外の取引先に対する代替的送達方法

米国の代理人の指定がない場合、A社はデュープロセスと適用される連邦および州の送達規則に従って送達を実施しなければなりません。裁判地とほとんど接点のない外国の取引先の被告を提訴(および送達)しようとすると、時間がかかり、複雑なプロセスになる場合があります。相手方がハーグ条約の加盟国である場合、有利ではありますが、ハーグ条約を通じた送達には6~9カ月、COVID-19による手続の遅延を考えると、それ以上かかる可能性があります。

幸いなことに、連邦民事訴訟規則では、このような状況における代替的送達方法を認め、定めています。

具体的には、規則4(f)は、海外にいる被告への送達方法として、1)ハーグ条約で認められているような、国際的に合意された通知のための合理的な方法、2)国際的に合意された方法がない場合、または国際的な合意で他の方法を認めているが指定していない場合には、通知のための合理的な方法、3)裁判所が命じる、国際的な合意で禁止されていない他の方法、を許容しています。規則4(h)は、海外企業への送達も同じ方法で行うことができる旨規定しています。一般に、「裁判所が規則4(f)(3)に従った送達を命じるにあたり、原告が規則(f)の他の規定に基づく送達を試みたことは要件ではない」ことが確立されています(Merrimack Mut.Ins.Co. v. New Widetech Indus. Co.事件等)。

以上のとおり、契約に違反した外国の取引先に対して訴訟を起こすためには様々な手段をとることが考えられます。また、これらの手段を取ることにより、規則4(f)(3)を根拠として電子メール等の代替的手段によって外国の被告に有効に送達を行うことも可能になり得ます。

©2022 Barnes & Thornburg LLP. All Rights Reserved. 書面による許可なく複製することを禁止します。

本ニュースレターは、法律の最新情報、動向をご案内するものであり、いかなる場合も法務サービス、法務アドバイスの意味を持つものではありません。本ニュースレターは、一般的な案内目的でのみ配布されるものですので、個々の問題については弁護士までご相談下さい。

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